Works
国内外を問わず、多くの実験的なアニメーション作品を発表している深海太郎さん。ビビットな色彩と、印象的な線で描かれた、キャラクターは、アニメーションのみならず、ひとつのイラスト作品としても、とても魅力的な存在です。第2回【CREATOR NEWS】は、そんな深海さんのシンプルかつ力強い、シュールな世界観に迫ってみました。

#初めて深海さんの作品をホームページで拝見させていただいた時、まず絵のタッチに衝撃を受けました。このタッチで描かれるようになったのはいつ頃からなんですか?
タッチはどんどん変わっていってますね。デジタル画材を変えているので。画材を変えることは、作風に一番大きな影響を与えていると思います。現在のタッチはペインターXを買ってからなので、まだ最近のことですね。ペインターは良いですよ〜。ペインターを使う事で、僕の想像もつかない表現に出会えますから(笑)。

#想像もつかない表現ですか? 確かに新海さんの作品から伝わる世界観は、かなり独特なものを感じますね。作品を作る際に、何か参考にしているものとか、影響を受けたことはありますか?
子供の頃から、映画とアニメーションはかなりの本数を観てきましたので、それはもう、多大な影響を受けていると思います。特にアニメーションとホラー映画の影響は強いと思います。最近もレンタルビデオにハマっていて、毎日1〜2本は観ていますよ。中でも「踊る大走査線」「ゾンビ」「エイリアン2」は私のオススメです。

#なるほど。新海さんの独特な世界観は映画やアニメーションからインスパイアーされているんですね。では、やはり映画を見ている時に、インスピレーションが浮かびやすいんですか?
私の場合、ボーッとしている瞬間にインスピレーションが浮かぶ事が多いですね。時間だと、AM10時〜11時位が一番いいアイデアが出て来ます。妄想の中でとても面白いイメージが浮かんだ時は、僕にとってスゴく癒しの時間になってます。

#ちなみに、お休みの日は何をして過ごされることが多いんですか?
朝起きてゴミを出し、洗濯しつつ朝食。掃除が終わると、Macを起動。そのまま制作。夕方になると洗濯物を片付け、晩ご飯を作りそれを食べながらビデオ鑑賞。風呂に入って再びMacを起動。インターネットを徘徊して12時頃に就寝。妻以外は誰とも会話なし。…なんかこうして言葉にすると、すごく寂しい一日ですね〜(笑)。

#お休みの日にあまり人と接する事がないんですか? 作品では人を描かれている事が多いので、意外ですね。
人恋しいのかもしれません(笑)。普段は営業職をしているので、その仕事柄、毎日沢山のお客様と一対一でお話させて頂いています。その影響が強いのかもしれません。

#作品は「ムイシキのつながり」をテーマに作品を作られているとの事ですが、「ムイシキのつながり」とはいったいどのようなことなのでしょうか?
簡単に言うと、「直感」「感覚」「感性」が全てと繋がってるんじゃないのかな?という私の推測です。私自身、あまり良くわかっていないので説明するのは難しいのですが…(汗)。人間も自然界の一部であるという考えのもと、言葉以外にも実は人が意識していない状態の時に、自然界にある全ての生き物とコミュニケーションを取っているんじゃなかろうか?と勝手に考えているのです。たとえば、「“偶然”出会った」というのも、じつは全く意識していないところで、人の中にある“何か”が互いを呼び合い、出会う為に出会っているんじゃないか?繋がっているんじゃないか?と勝手に妄想を膨らませ考えているのです。“自然界の流れ”とでもいうのでしょうか。

#新海さんの実験的なアニメーション作品は、哲学的と言いますか、ただ漠然と観ているだけでは読み取れない、少し難しい部分があるように感じました。ちなみに海外の映画祭にも積極的に参加されているようですが、新海さんの独特な世界観は日本より海外の方が受けが良いんじゃないですか?
日本では、「開放的」なイメージを持たれる意見が多いです。海外の上映会では、現場にいた方からの報告によると、随分「真剣に」見入っていたという事らしいです。「開放的」はお褒めの言葉の様に聞き取れるし、「真剣に」なんて、文字通り真剣なわけですからとても喜ばしいことですし。どっちも受け入れられてるのかなと(笑)。作品に対する感じ方は当然、十人十色なので、もっと多くの方から、いろんな反応が頂ければすごく嬉しいですね。

#では最後に、今後の目標をお聞かせください。
今まで以上にもっと濃い作品を作る事と、自分のアトリエを持って作品の展示、販売が夢です。勿論、生活していけることが前提ですけど(笑)。

深海太郎
生年月日:1967.9
血液型:O型
「ムイシキのつながり」をテーマに2001年より創作活動を開始